むしめがね

生活のこと、旅のこと、人々のこと、考えたこと

モロッコ

「シノワ」

モロッコで街を歩くと、「シノワ」と呼ばれる。 呼ばれることがある、という頻度ではない。そこが観光地なら、すれ違いざま、必ず聞くといっていい。 呼びかけるときのシノワ、ひそひそ声のシノワ、にやにや口調のシノワ、子供をあやしながらのシノワ、何か…

モロッコごはん 朝食編

今日は、モロッコの朝ごはんを紹介しようと思う。モロッコには、M'semenという食べ物がある。見た目は分厚いクレープのようで、そのまま食べたり、チーズやはちみつ、ジャムを塗ってみたり、はたまた玉ねぎや挽肉を練り込んだおかず系があったりする。それで…

モロッコ人

モロッコ人が好きだ。 大学二年生のとき、最初のゼミ論アイディア会議で「労働意欲や規範における国民性についてやろうかと…」とのたまい、先生はおろか四年生の先輩からコテンパンにされて以来、国や地域を単位に何かを語るというのは、少なくとも自分にと…

時間と生活

10月30日、生まれて初めてサマータイムの終了を経験した。まったく場所を移動せず1時間分の時差が生じるのは、かなり不思議である。たとえば、体感的には8時30分だが、これまで通り時計の針が7時30分を指すころにはカフェテリアが開く。のんびり寝たはずなの…

砂上のコーヒー、そしてセッション

モロッコに来たら絶対やりたかったことがある。タムタムを演奏することだ。四日間の旅で、そのチェックリストはあっけなく達成された。 滞在2日目の夕方、アミンさんが「砂漠で夕日を見ようよ」と誘ってくれた。夕暮れ時の砂漠は、昼間の噛み付くような熱さ…

サリマさんのパンづくり

こちらではよく、食事をするとき、肉などの料理をパンで掴んで食べる。そのパンは、モロッコのいたるところで見かけるもので、ホブスと呼ばれている。表面は乾燥していてなかはモチっと重い、平たく丸いパンである。サリマさんのお家では、このパンは手作り…

ヘンナについて

アシュラフさんのお家に着くと、居間のタイルの床に、絨毯を敷き寝そべるサリマさんが目に入った。そのまま挨拶を交わす。サリマさんの両手両足はビニールで覆われ、僅かに透ける手は黒ずんで見えた。 ご病気なのかな…と心配していると、おもむろにビニール…

リアルバブリッシュ

ピエロの世界には、バブリッシュという言葉があるのをご存知だろうか。赤ちゃんがバブバブと意味を持たない言葉で何事か訴えるように、ピエロの世界でも身振りと手振り、表情だけで伝え合うときに発する言葉のことだ。四日間の旅は、まさにバブリッシュの連…

街から街へ移動する

先日、Hassi labiadという小さな村にお邪魔させてもらう機会があった。アルジェリアのすぐそば、サハラ砂漠に面した村で、400戸の家族が暮らす。ルッサニという近くの街まで、滞在中お世話になるおうちの主であるアシュラフさんが迎えに来てくださったので、…