むしめがね

生活のこと、旅のこと、人々のこと、考えたこと

香港滞在記

香港に二週間ほど滞在したのをこれ幸いと、投稿を試みる。


香港はごちゃまんとしている、というのが私の感想である。顔を上げれば棒のように細い高層マンションが澄まし顔で曇天を覆っているが、一旦目線を元に戻すと、そこでは血を流した豚のしっぽや頭の皮がぶらぶらしてたり、日焼けした顔のおじちゃんおばちゃんがもの凄い勢いの広東語で果物売ってたりする。なんだかアンバランスなのだ。(余談だが、建設中の建物の足場が竹で組まれている景色には何度も肝を冷やされた)
トラム(二階建ての路面電車)は香港で一番好きな乗り物でよく移動に使ったが、車外の様子は何度見ても飽きることがない。スーツを着てビシッと歩くビジネスマンが視界から消えたかと思うと、トラムをランニング姿で追う自転車乗りのおっちゃんが見えてくる。右側に顔を向けると若者でごった返す繁華街だが、左側を振り向くと果物や魚や肉の露店が軒を連ねる。ごちゃごちゃだ。


どこでも共通している何かがあるとすれば、ムンっと溢れ出るエネルギーだろうか。「おんどりゃー!!」「これでもかー!!」と台詞をつけたくなるような看板やチラシの数々、どう考えてもブチ切れているとしか思えない広東語のやりとりは、人間味に溢れていてどこか温かい。

 


こんな香港の街で12日間も何をしていたのかというと、英語研修をしていたのである。なぜ香港で?と思われる方もいるだろう。帰ってきた今でも、それは謎のまま心のしこりとして残っている。


共に研修に参加した方々は、出国時必ず審査に引っかかる人、見た目完全に現地コーディネーターの人、ものすごくクレバーな人、サイコパスな人々(複数名)、天真爛漫な人、とそれぞれ筆舌に尽くしがたい魅力が溢れていて刺激的だった。一面しかお伝えできず残念な限りである。出会えたことに心から感謝。私もそんな人間になりたい。


行く前は、「12日間か…長いよなぁちょっと…」と弱気になっていた。そんな自分に鼻フックをお見舞いしたい。本当によき旅であった。